香りの疑問
「においってなんだろう?」「どうしてにおいがわかるのか?」「おじさんのにおいってどんなにおいなのか?」「モテる香りってあるの?
「においってなんですか?」「どうしてにおいがわかるので すか回から始まって、「おじさんのニオイつてどんなにお いり「じゃ、おばさんのにおいってあるのかな?」などと いう無責任な話題から、「フェロモンつて効果あるの?」、 「モテるにおいってあるの?」などというような、体臭、加 齢臭、汗のにおい、足のにおい、香水のにおい、世界一く さいにおい、イヌやネコの好きなにおいと嫌いなにおい、 消臭の限界、なつかしいにおい、においと記憶の結びっき、 アロマテラピー、病気のにおい、がんのにおいへと、話は さまざまに展開していきます。
ヒトは外界の情報のほとんどを目から取り入れる視覚動 物です。その次は耳、すなわち聴覚です。味覚は摂食栄養 で生命維持に大きくかかわり、平衡覚がなければ体のパラ ンスが取れず、触覚・圧覚・温覚・痛覚がなければ快感も 痛みもないわけです。さて、残るのが嗅覚、つまりにおい です。
食べようとした瞬間にツーンとくるようなにおいを嗅げ ば、ヒトはそれを口に入れません。女性を思わせる香りが 漂つてくると男性はフラフラつと吸い寄せられ、ウナギや 肉の焼けるにおいがすると俄然食欲がわき、あとで反省す ることになるのです。
また、思いがけないにおいにふれると、急になつかしい記 憶がピンポイントで鮮明に頭の中に描きだされます。この 本の中にもでてきますが、甘いバナナのようなにおいがす る“バニラ”という化学物質があります。なめると苦い味が するのですが、このにおいで老化度の判定ができることが わかりました。そして、アロマオイルのにおいといやなに おいを嗅ぐ実験から、においとストレスとの関係について 興味ある結果が得られています。アロマテラピーの人気が でてきているこのごろですが、鼻をつまんで生活してもそ れほど困らないと思っている人もけっこういるのです。ふ だんはにおいがあるということさえ忘れているに違いあり ません。地球が猛烈なスピードで正確に白転・公転をして いるという重要なことをわれわれがふだん意識していない のと同様、においもふだん意識されていない感覚ですが、 重要な感覚のはすなのです。
「いろはにほへと……」について訳を見ると「みずみすしい 若さは、いまを盛りに咲く花のようににおうけれど……」と あります。「におい」や「いろ」にはいろいろ複雑な意味が込 められていることを知らなかったころ、「みずみずしい若さ」 はどこから、「いろ」はどうなったのかと想像をめぐらして いたことを思いだします。「におい」を表す単語はひらが な・カタカナ以外に、漢字でもいろいろと書き表すことが でき、さまざまに使い分けられています。万葉集にでてく る[にほえる妹……]など、「におい」という単語が源氏物語 でも情緒や余情や人柄をも表す意味で幾多に使われていま す。日本刀の刃の地肌との境目の部分にある、霧のような 大切な模様も「におい」というようです。鼻でにおいを[嗅 い]でいても、香道ではにおいを「聞く」といいます。この ように「におい」という単語には、不思議がいっぱいです。 これまで蓄積されてきた、においに関する知識や文化はた くさんありますが、その科学的な本質は、ほとんどが謎の まま残されています。
このサイトを読めば、現在わかっているにおいやフェロモンの 全貌が理解でき、文系・理系や年齢・性別・人種の区別な く、この「においの世界」にはあらゆるヒトが自由に入り込 めるということがわかってもらえると思います。 専門の用語を使い、それなりに難解に書くのには慣れて はいるものの、一般のサラリーマンやOLの方が、においの どんなことに興味をもっているのかなどは見当がつきませ んでした。